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与那原大綱曳も元々は地域の綱曳から始まりました。綱曳は、稲作に関連した行事で、翌年の豊作を占う予祝儀礼、または雨乞い、作物を荒らす虫を祓う農耕行事として古えより沖縄の人々の生活の中で営まれてきました。稲作が無くなった現在でも、町内6ヵ所の拝所にて町の繁栄と大綱曳が無事行われるよう祈願が行われます。
アブシバレーは、田植え後に畔の草刈りを行い、虫払いをして豊作祈願をする儀礼です。旧暦4月中頃に吉日を選んで行われます。綱曳本番の三ヶ月前に綱曳実行委員会により町内の5か所の拝所にて町民の安全と町の繁栄を祈る最初の拝みが行われます。儀礼の最後には、捕まえた虫たちを芭蕉の葉でできた船に括り付けて厄と共に与那原の東海岸から沖へ流されます。
五月ウマチーは旧暦5月15日、稲穂の成長を祈る儀礼です。王府時代より“ノロ”と呼ばれる、村落祭祀において中心となる巫女が祭司となり、聖域を廻り儀礼を執り行いました。かつては、この与那原村にもノロがこの儀礼を執り行っていましたが、戦後に入ってその伝承は失われてしまいました。現在では綱曳実行委員会がこの日に町内の拝所5か所を拝んで廻ります。
六月ウマチーは旧暦6月15日、稲穂の収穫を迎える頃に神に収穫の感謝をする儀礼です。五月ウマチーと同様に、ノロがいない現在、綱曳実行委員会が綱の材料となる稲の収穫を感謝すると共に与那原大綱曳の無事成功を祈ります。また、この日は大綱曳本番の約2週間前となる日で、前哨戦として、“ウマチー綱小”と呼ばれる子どもたちによる綱曳合戦が行われます。
日延の御願は、戦前の綱曳が旧暦6月26日に必ず行われていたのに対し、戦後、生活様式の変化により旧暦6月26日が平日に当たると綱曳開催に差し障りが生ずることから、旧暦の6月26日以降の近い日曜日に開催する運びへと変更しました。このことから、本来の行われるべき旧暦6月26日に綱曳実行委員会が日延の許しと本番綱の無事開催を祈って祈願が行われます。